1980年以降のオーディオ③

かなり乱暴な意見とは思いますが、ぶっちゃけ、1980年を挟んでその前と後では音質が全く別物のように思えるのです。それを言葉で表現するのは至難の業ですが、なんとかやっていきたいのです。

では、1980年以前の例えばアンプはどういう音質なのでしょう?
それで一つ、例としてある製品を紹介しましょう。

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SX-737

これはパイオニア社のレシーバー<SX-737>です。確か、1974年か1975年の発売です。筆者はこれを1977年に購入しました。父と秋葉原に探しに行ったのですが、その時点ではもう型落ちで店頭には置いてませんでした。すでにレシーバーの時代は終わり、アンプといえばプリメイン・アンプが当たり前になっていました。後で紹介しますが、SA-8900Ⅱなどがベストセラーになっていました。また、セパレート化も進んでいて、レシーバーは時代遅れとなっていました。筆者はなぜかこの古めかしいレシーバーのデザインが好きで、なんというかチューナーの目盛が青くぽっと浮かんでいて、なんとも幻想的で惹かれたのです。両サイド・上部が木製だったのもレトロでよかったわけです。(オーディオではこういうことが実はすごく大事)

なので、何としても見つけようと秋葉原の多くの店舗を回ったのですが、どこにもこの製品はありませんでした。店員に尋ねても、逆にプリメインを強く勧められるのがオチでした。
半日以上探して見つからず、あきらめて父と国鉄の秋葉原駅へと向かいました。そしてダメもとで駅の真ん前のビルに入ってみたのです。確か”サトー無線”だったと思います。するとなんと<SX-737>が展示してあったのでした。駅から一番近い店にあったというわけです。中年の店員にそれを指さして尋ねると、在庫はすでになく、この展示品のみということでした。少し残念でしたが、半ば意地になって探していたので購入を決意しました。
こちらの熱意が伝わったのか、その店員は、「今のアンプはトランスが小さくなっていて、これの方が大きいのが入っています」と裏情報を言ってくれたのです。当時は左右独立(LRセパレート)電源が流行っていて、結果、一個あたりの大きさが小型になっていたのです。きっとカタログ文句に弱い他の客には、「最新の左右独立トランス」の売り文句を説いているのでしょう。(こういうときに重要な裏情報が得られることがあります)


店員は展示品をラックから下ろして台に置いて、カバーを開けて中のホコリを拭いてくれました。それからカバーを付け直し、大事そうに全体をきれいに拭いてくれたのです。生まれ変わったような<SX-737>は気のせいか光り輝いていました。父が価格交渉すると、5万円でOKということになりました。もともとの定価は8万5千円ですから4割強の値引きでした。今思えば、展示品なのでもっと引けたのではと思います。
ともかく、<SX-737>が家に来ました。


※レシーバーとは?

 プリアンプ(アンプのコントロール部)、メインアンプ(アンプの増幅部分)、それにチューナーが一体化されたもの。見た目には大きなチューナーのように見える。当時はFM放送が高音質メディアとして重要であったので、チューナーが必ず必要で、使い勝手からプリメインアンプと合体してこうなっていた。 

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