1980年以降のオーディオ②

☆見過ごせない音質の変化

音がキレイになったのはいいのですが、なぜか音楽に乗らないものに感じられるのは不思議でした。その理由は、はっきり言って分かりません。一説によると、トランジスターの違い、Can(金属)タイプからプラスティック・タイプへ変わり、それが音質に影響したというもの。真偽は確かではありませんが、確かに、名トランジスターと呼ばれるものは、Canタイプがほとんどのようです。その他、金属の追放(非磁性体化)の影響もあるのかもしれません。なぜか金属を減らすと、音はさっぱりと大人しく繊細になるのだそうです。

筆者の考えでは、その他の要素もあると思っています。上記の理由の他に、やはり時代の変化が大きいのではないかと思うのです。前に、<縄文→弥生>と表現しましたが、戦後の時代の雰囲気を見てみると、高度成長期終わりまでは、非常に男性的で前向き、ダイナミックな雰囲気が横溢していました。歌謡曲でも男性歌手は、低音の魅力で売っていたものが多かったと思います。それが70年代後半になってくると、明らかに優男風の男性歌手がもてはやされるようになってきました。声質も高音寄りになりました。また、TVアニメなども、かつての”スポ根”ものから”ラブコメ”へと大きく流れが変わります。汗臭い男性主人公は敬遠され、爽やかでちょっと面白い男の子が中心の時代です。

オーディオの音質も、この変化に沿っているように思えます。それに製品の設計者や音決めする人の年齢が、この頃初めて戦後生まれになってきました。戦前、戦中を知らない世代の登場です。結果、”巨人の星”から”タッチ”への変化と同じように求められる音質も変わっていったということです。

強くて男性的だが汗臭い→→→ひ弱で優しいが爽やか

この変化を、かの長岡鉄男氏は次のように表現しています。

わんぱくが逞しく育っている感じ→→→優等生的(開成から東大そして大蔵省へ)

これは本当に言いえて妙ですね。こんな感じがオーディオ界で進行していったわけです。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック